Keep building me up, then shooting me down

温度計はマイナス10度を指していた。やっぱりね。さっきから足先の感覚がなかったんだ。窓枠の水滴はつららになって、吹雪を受けてかたかた鳴っていた。私はなんとか呼び覚まそうと、親指と人差し指をしきりに擦りあわせていたが、お互いが何か固いものにぶつけられているような感触であった。いつもは無頓着なのに、こういうときに限って現金なものだね。休んだ拍子に親指が皮肉をささやき、私は聞こえないふりをした。かたかた。たしかに、最初に裏切ったのは私のほうかもしれない。かたかた。それだからこそ、ひきずってでも私の身体でいてほしいと願い、こうやって同じ動作を繰り返しているのだよ。かたかた、かたかた。やがて音が遠くなる。