それでも君を思い出せば そんな時は何もせずに眠る眠る

百万遍の交差点に知人がつっ立っていて、待ち人かと思いつつ声をかけると、どうやら誰かから話かけられるのを待っていたみたいだった。聞けば、日中は家や研究室にいたくないのだという。そのまま近くの喫茶店に入って時間を過ごし、閉店の時間になってあたりが薄暗くなってから別れた。その人は研究室に向かい、私の手には家をでるとき「これを読むまでは家に帰ってこない」と固く誓ったはずの本が、開かれることすらなく収まっていた。話しかけられて「助かったよ。あー、危なかった」とあまり聞かない変わった感謝のされかたをされて、まんざらでもない一日でした。