スパイラル

若者は窓枠に仁王立ちになり、あほをさんざん焚きつけた。あほはあっさりと挑発にのった。まだ火を赤くはらんでいる木炭を苦労して掻き分けると、それを手に駆け寄ってゆき、若者向かって思い切り投げつけた。若者は体をねじってこれを避けた。早速「はずしやがってばーかばーか」という類の罵倒を浴びせかけようとした若者を、あほは真剣にどなりつけた。「おまえ、火事になったらどないすんねん!はよ消せ!」

わたしはこのやりとりを感嘆と敬意の念をもって見守った。わたしはしあわせ。