ああもうだめだ

少年はいつも法螺ばかり吹いていました。オオカミが来たぞ。最初は彼の言うことを信じて備えていた住民も、やがて相手にしなくなりました。ある晩、少年が窓に目をやると、オオカミが朧月のもと浮かんでいるのでした。オオカミが来たぞ。少年は声が涸れるまで叫び、涸れてからも叫び続けましたが、誰も聞いてはくれませんでした。翌朝、彼は、被害に遭った人たちがほうぼうで嘆くのを黙って見ていました。自分の言うことを信じなかった彼らをそしる気は起りませんでしたし、反対に、謝りたいとも思いませんでした。彼はただ、なぜ自分はああまでして叫んだのだろう、あれはなんだったのだろうとそればかり考えていました。言葉から自由になろうとしていた自分が、夢中になって、そこに得体の知れないものを載せていた昨晩のことを、しきりと反芻するのでした。葉の散る季節のことでした。

ていう感じのカタルシスが、さっきパスタの湯切りしようとしたとき、やってきた。これでやっと春休み...。