そして悲しくうたふもの

隣人の夫婦喧嘩に誘われた朝だった。おじさんのほうはかなりきているようで、外にでてがなりちらすのが窓から差しこんできた。うつつ半ばで沈みこんでいく、懐かしい感覚。メタがエゴ喰う。あの子もそうして布団をひっかむりながら、耳だけは静かにそばだてていたのだろうか。川端康成の短編にひとの顔をじいっと見る癖がでて云々というのがあったけど、あれと同じで、今となってはそんなに卑下することでもないかとちょっとすっきりした。
この時期はどこを走っても緑が匂う。もっとのっぺりしたもんだと思ってた。