さむい→呑む→窓などを破壊する→さむい→…

ずっと昔のことだけど、比叡山を登っているときにふと、そういえば雪かきをしたことがないなと思った。なんということはなく、ある種の言葉づかいに対してはセンシティブで、というより言葉が能天気に実体からふらふらと遊離していく感じが好きでないので、その時も、雪かきをしないままでいたらいつまでたっても雪かきという表現を使うことはできないし、そもそもその語感を掴むことができないと、めんどくさいところに思いいたった。で、仕方なく根本中堂でスコップを借りて雪かきをしてみた。意外とさくさく仕事はすすんだ。不毛or悲壮な感じは予期したほどでなく、吐く白い息に混じって消えるくらいのものだった。坊のおじさんが今年のはしやすいのだと教えてくれた。とはいえ、そこに残るほどの酔狂ではなかった。そのときに覚えた疲れがまだ、宿痾のように残っている。